●夜間の演奏のために、ヘッドフォンを使って練習したい
●電子ピアノに使えるヘッドフォンはどれ?
●おすすめのヘッドフォンが知りたい
●ヘッドフォンの選び方がわからない
というアナタに元楽器屋店員のyamaが、電子ピアノに最適なヘッドフォンを、タイプ別に紹介します。
好みのヘッドフォンの選び方から解説します。
良いヘッドフォンを使えば上達する
画像引用 https://www.roland.com/jp/products/hp700_series/features/
質の良いヘッドフォンを使用すれば、ピアノの演奏が上達します。
理由は以下の2つです。
- 音質がクリアで微細な演奏ニュアンスやミスが聞き分けられる
- 快適なつけ心地で演奏に集中できる
良質なヘッドフォンなら、リアルなピアノの音で再生してくれるので、演奏が楽しくできます。
さらに、強弱のニュアンスがしっかり聞こえるようになりますし、ミスタッチもそのまま再生されるので、シビアに自分の演奏を判断できます。
ま良質なヘッドフォンはクッション性が良く耳に当たる部分の感触が良く、しっかりフィットしてずれないのでストレスなく演奏可能です。
電子ピアノの練習での上達には、良いヘッドフォンが欠かせません。音の詳細をしっかり捉え、自分の演奏を正確に判断てき、長時間快適に練習できるからです。
おすすめしないヘッドフォン
電子ピアノの練習において、音質が悪いもの、音色のバランスが変わってしまうもの、つけ心地が悪いものは、ピアノの上達を妨げるどころか、下手になってしまう恐れもあります。
電子ピアノに使ってはいけないヘッドフォンを、具体的に紹介、解説します。
付属品:音色が悪い
電子ピアノ本体に付属するヘッドフォンは、低価格低品質でおすすめしません。
音域が狭くこもった感じに聞こえて、電子ピアノ本来の良い音色が十分に再生されません。
また、スポンジのクッションを使用するなど、つけ心地が良くありません。
耐久性も低いです。ケーブルが内部で断線してしまったり、少しの衝撃で壊れるなど、長期間使えません。
イヤフォン:では十分な低音が再生できない
イヤフォンは低音域が十分に再生されません。
イヤフォンはサイズが小さいため、ヘッドフォンよりも音質、特に低音の再現性が良くないのです。
低音が弱いため、無意識に左手の打鍵が強くなる悪いクセがついてしまうと、本物のピアノを弾いたときに、バランスの悪い演奏になってしまいます。
スマホなどで使っているイヤフォンを、電子ピアノでも使うのは辞めましょう。
オーディオヘッドフォン:音のバランスが悪い
オーディオ用ヘッドフォンは、音楽を楽しく聞くことに特化しています。
そのため、低音や高音などが強調された音質のバランスになっていることがあります。
すると、イヤフォンのときとは逆に、弱い力でもしっかり音が出ていると勘違いしてしまい、本物のピアノを弾くと弱々しい演奏になってしまうクセがつく可能性があります。
ゲーミングヘッドフォン:音のバランスが悪い
ゲーム用ヘッドフォンも、本来の音から音質のバランスが変わっているので、おすすめしません。
ゲームの臨場感を増すために低音域が強調されたり、小さな足音を聞き取るために特定の周波数帯が強調されるという具合です。
マイクがあるものだと、それも邪魔で気が散ってしまいます。
Bluetoothが使えない:音が遅れて演奏できない
Bluetoothヘッドフォンは無線で便利ですが、楽器演奏には使えません。
実際に鍵盤を押してから、音が聞こえるまでに遅れ(レイテンシー)が生じます。
どんな上級者でも演奏できないと言って良いでしょう。
音色が加工されない楽器用orモニターヘッドフォンが最適
画像引用 https://www.audio-technica.co.jp/product/ATH-M50x
電子ピアノの練習に、楽器用やモニターヘッドフォンが優れているのは、音色が加工されないためです。
楽曲制作や動画編集に使われるモニターヘッドフォンは、全ての音域を均等に、そして正確に再現するように開発されています。
そのため、電子ピアノのこだわって開発された音質をそのままリアルに再生してくれます。
強調される音域がないので、演奏のニュアンスや強弱も正確に反映されるので、練習を効果的なものにしてくれます。
ヘッドフォンの選び方
プラグの確認:ほとんどは6.3mm標準プラグ
電子ピアノ側のヘッドフォンジャックの大きさと、ヘッドフォンのプラグの大きさを一致させる必要があります。
多くの据え置き型の電子ピアノは、6.3mmの標準フォーンステレオジャックです。
ヘッドフォン側には6.3mmのプラグと、オーディオでよく使われる3.5mmステレオミニプラグがあるので、購入前に確認しましょう。
変換アダプタが付属、または別途準備すれば、問題なく使用可能です。
タイプで選ぶ:つけ心地の快適さか、音漏れを防ぐ遮音性か
ヘッドフォンには構造が異なる2つのタイプ、開放型と密閉があります。
開放型(オープンエア型)
開放型(オープンエア型)は、外側のカバーが開放されていて、空気が通ります。外の音が聞こえますが、ヘッドフォンの音も漏れてしまいます。
密閉型(クローズド型)
密閉型(クローズド型)ヘッドフォンは、ヘッドフォンの外側が完全に閉じられており、内部の音が外部に漏れにくく、外部の音も内部に入りにくい構造です。
どちらも一長一短ですが、密閉型がおすすめ
それぞれの特徴を表にまとめました。
周囲や環境を気にせず練習でき、細部の演奏も聞けるという、スピーカーには無いメリットが得られるので、迷ったら密閉型がおすすめです。
開放型ヘッドフォン | 密閉型ヘッドフォン | |
---|---|---|
メリット | 1. 自然な音質 2. 通気性が良く、長時間の使用でも耳が蒸れにくい | 1. 音が外部に漏れにくく、他人を気にすることなく練習ができる 2. 外部の音を遮断し、騒々しい環境でも集中して練習が可能 3.繊細な演奏の変化を確認しやすく、上達につながりやすい |
デメリット | 1. 音が外部に漏れやすく、他人に迷惑をかける可能性がある 2. 外部の音が入りやすく、騒々しい環境では集中力が途切れる可能性がある 3.比較的高価 | 1. 音が閉じ込められ、圧迫感が気になる可能性がある 2. 長時間使用すると耳が蒸れる可能性がある |
密閉型おすすめヘッドフォン3選
audio-technica ATH-M20X
高価なヘッドフォンと比べると、解像度やクリア差がやや劣りますが、
1万円以下で選ぶならこの機種が断然おすすめ。
低価格ながらも、フラットでクセのない素直な音質が魅力。
軽量で長時間の装着でもストレスが少ないです。
市場相場価格:7,000円〜9,000円前後
できる限りヘッドフォンのコストを抑えたいアナタにおすすめ。
SONY MDR-CD900ST
アメリカでは前述のATH-M50Xが定番モニターヘッドフォンですが、日本のスタジオでは20年以上こちらのSONY MDR-CD900STが定番機種です。
The First Takeで使われているのも、実はこちらのヘッドフォン。
少し圧が強く、イヤーパッドも薄いので、長時間の使用には向いていません。
市場相場価格:13,000円〜18,000円前後
良い音というよりも、細部まで音を聞き分けたいというアナタにおすすめ。
audio-technica ATH-M50X
迷ったらコレ!
Audio-TechnicaモニターヘッドフォンMシリーズの中で最も評価が高く、全世界累計販売数150万台を超える人気機種です。
密閉型モニターヘッドフォンとして、世界中のエンジニアやミュージシャンが愛用しています。
イヤーパッドは耳をすっぽり覆ってくれるので、遮音性が高いことに加えて、耳への負担も少ないので長時間の使用も快適。
低音域から高音域まで、脚色なく、解像度が高い音質で、ピアノの練習に最適です。
市場相場価格:20,000円前後
ナチュラルで快適な音色と装着感でピアノを演奏したいアナタにおすすめ。
開放型おすすめヘッドフォン3選
Roland RH-A7-BK
比較的高価になってしまう開放型モニターヘッドフォンの中では、お求めやすい1万円以下の機種。
この価格ではトップクラスの音質の解像度と言えます。
楽器メーカーが作ったヘッドフォンだけあって、長時間のピアノ練習にも最適。
市場相場価格:8,000円前後
開放型でできる限り予算を抑えたいアナタにおすすめ。
audio-technica ATH-R70x
オーディオテクニカ製モニターヘッドフォンで唯一にして定番の開放型。
大型ドライバーユニットを採用したことで、開放型ながら低音域の再生も忠実。もちろん高音域まで解像度は高いです。
しかも、軽量なので長時間の装着もストレスがありません。
市場相場価格:35,000円〜38,000円前後
とにかく装着感を快適に、長時間演奏したいアナタにおすすめ。
SONY MDR-MV1
最高品質の開放型モニターヘッドフォンです。
モニターヘッドホンとしてソニー初の背面開放型音響構造を採用。ハウジング内での反射音を低減し、音源が持つ空間情報を正確に再生します。
圧迫感や蒸れなど、ストレスなく装着できる上に、極上の解像度で演奏が聞けるヘッドフォンです。
市場相場価格:59,400円前後
音色もつけ心地も妥協したくない、最高を求めるアナタにおすすめ。
無線ヘッドフォンはこの2択
一般的な無線ヘッドフォンはBluetooth方式ですが、前述の通り音が遅れるため楽器演奏には使えません。
しかし、楽器演奏にも使える低遅延を実現した希少な2機種を紹介します。
それぞれ密閉型と開放型です。
ワイヤレスヘッドフォンの特徴
ヘッドフォン部に受信機が内蔵されています。
無線の送信機に電子ピアノとケーブルを繋いで使用します。
ヘッドフォンを使わないときにこの送信機にセットすることで、ヘッドフォンを充電します。
そのため、使いたいときにすぐ使えるのも練習には嬉しいポイント。
ケーブルが邪魔で集中力が切れてしまう、使わないときのケーブルのごちゃごちゃする感じが嫌、というアナタはぜひ。
密閉型:audio-technica ATH-EP1000IR
楽器演奏用のワイヤレスヘッドフォンとして開発。
赤外線システムにより、音の遅れはわずか1msec(0.001秒)以下のため、違和感なく演奏できます。
フラットで解像度が高い音色です。
市場相場価格:27,280円
密閉型のワイヤレスヘッドフォンが欲しいならコレ
開放型:YAMAHA YH-WL500
ギターやマイクのワイヤレス・システムを設計してきた子会社Line6の技術と、ヤマハの音響技術を組み合わせて開発。
遅延時間は4msec以下で、演奏上の違和感はありません。
市場相場価格:49,500円
開放型のワイヤレスヘッドフォンが欲しいならコレ
ヘッドフォンの手入れ
大げさなメンテナンスは必要ありませんが、音質の低下、衛生面での不安がありますから、定期的なクリーニングをおすすめします。
ヘッドフォンのイヤーパッドは耳が直接触れる部分です。
皮脂汚れがついたままにしておくと、皮膚の炎症を起こす可能性もあります。
ウェットティッシュなどで優しく拭き取りましょう。
※アルコールが入っているウェットティッシュだと、ヘッドフォンの素材によってはレザーを傷める可能性があるので要注意。
開放型でホコリが拭き取れない部分はエアーダスターを使うのがおすすめ。
プラグ部分に汚れが付着していると音質劣化の原因となります。
汚れを放置すると、サビの原因になり、掃除ではとれなくなってしまいます。
定期的に接点復活剤を使うと効果的です。
ヘッドフォンの長時間使用は耳に悪い
ヘッドフォンを使った電子ピアノの練習は、集中力を高めるのに役立つ一方で、長時間の使用や大きな音量での使用は耳の健康を損なうリスクがあります。
以下に、健康的な使い方を具体的な音量や時間を用いて説明します。
音量は、本物のピアノくらいの音量がベストです。
健康面はもちろん、大きすぎたり小さすぎたりすると、演奏に悪いクセがついてしまいます。
耳の休憩も有効です。
60分間連続で聴き続けたときは、5〜10分は耳を休ませることをおすすめします。
用途に合わせてヘッドフォンを選びましょう
家庭で本物のピアノを鳴らせない多くの人にとって、電子ピアノとヘッドフォンは練習に非常に有効です。
種類や予算もさまざまなので、アナタの好みや使用目的に合った機種を選んでください。
コスパ重視なら、audio-technica ATH-M20X
音質の良さと価格のバランスが最も優れたイチオシは、audio-technica ATH-M50X
開放型で快適性を優先するなら、audio-technica ATH-R70x
安い開放型が良いなら、Roland RH-A7-BK
最高級の快適さと音質がほしいなら、SONY MDR-MV1
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