●趣味でピアノを始めたいので最初の1台を探している
●ヤマハPシリーズは全4機種どれが良いの?
というアナタに楽器屋店員のyamaが、Pシリーズのメリットとデメリット、全4機種P-45/121/125/515の違いの比較、おすすめ機種と選び方をご紹介します。
ヤマハのP-125aは机に置くタイプの電子ピアノ。
ヤマハブランドで最も安いピアノタッチの88鍵盤ですが、グランドピアノを録音した本格的な音色です。
趣味でピアノを始めるにはPシリーズなら、価格とYAMAHA音質でバランスに優れたP-125が断然おすすめです。
ただしPシリーズがおすすめな人は机に置いて気軽に弾きたい場合です。
しっかり練習したいなら適切な高さで練習できる据え置き型(ヤマハ アリウスシリーズ等)を検討しましょう。
P-シリーズは2023年7月に、新機種が発表され、P-125は生産完了品となりました。店舗に在庫があるものは、安く入手できるかもしれません。新機種は下記記事で紹介しています。
メリット
メリット①:ヤマハブランドで最も安い88鍵盤電子ピアノ
Pシリーズはヤマハの電子ピアノで安いシリーズ。
それよりも安いヤマハのキーボードは61鍵盤や76鍵盤。
Pシリーズは生ピアノと同じ音域である88鍵盤を採用しており、どんな曲でも弾ける音域です。
メリット②:本物のグランドピアノを録音した本格な音源
グランドピアノも開発しているヤマハが、本物のピアノの音を録音した音源を使用しています。
機種によって採用している音源は異なりますので、それぞれの違いは後述の比較解説をご覧ください。
キーボードやシンセサイザーとは違いスピーカーが内蔵されているので、本体のみで音が出てくる手軽さがあります。
音の広がりなど聞こえ方に重要なスピーカーは、機種ごとにサイズや数が異なります。詳しくは後述。
ヘッドフォンを接続することも可能で夜間の演奏も安心です。
こちらの動画では、本体搭載スピーカーを鳴らして演奏者の耳元で録音しており、実際に聞こえる感覚に近いです。入門ピアノとしては申し分の無いサウンドです。
メリット③:生ピアノと同等の鍵盤サイズ
キーボードやシンセサイザーは鍵盤ひとつひとつの大きさが小さかったり、ペラペラだったりしてピアニストにとって弾きづらいと感じることがあります。
Pシリーズの鍵盤は生ピアノと同等の大きさで指を開く感覚や、奥行きに違和感がありません。形もボックス型で見た目にもわかるほどの違いです。
また黒鍵は艶のないマット仕上げで手触りも生ピアノを意識しています。
メリット④:キーボードとは違うピアノタッチ
キーボードと呼ばれるものの鍵盤は押してもバネで押し返されるように戻ってくるピアノとは似つかない感触です。
このPシリーズは適度な重さと指先に付いてくるようなピアノらしい自然な戻り方をしてくれます。
この鍵盤はヤマハ独自のグレードハンマースタンダード(GHS)鍵盤を採用しています。生ピアノと同じように鍵盤の重さが、低音部では重く、高音部では軽くなるように、音の高さによって段階的に弾きごたえを変化させています。
もちろん鍵盤を弾く強さによって音の強弱が表現でき、この安さでもピアノタッチが体感できるのが魅力です。
メリット⑤:コンパクトボディで家での置き場所が確保しやすい
本体はコンパクトで家でも置き場所を選ばないサイズ。重量は11kgほどなので女性でも配置換えできるほどです。
大人の方がこれから趣味で始める際には卓上で気軽に弾けるのでおすすめです。
そのテーブルに置いた際に最適なサウンドになる「テーブルEQ」という機能が搭載されています。(P-45除く)
外への持ち運びも可能なサイズと重量で、演奏活動されている方の持ち運び用楽器として使う方も少なくありません。
メリット⑥:アプリ「スマートピアニスト」対応
アプリ「スマートピアニスト」に対応しています。※P-45を除く
スマホ/タブレットとの接続は有線なのと、がちょっと残念。
デメリット
デメリット①:スピーカーが小さいので低音の迫力に欠ける
メリットであるコンパクトなサイズとトレードオフで、上位機種の箱型サイズの電子ピアノよりもスピーカーが小さいです。
そのため低音域の音に厚みが足りなくなってしまいます。
もっと高価な機種は音源自体のグレードがさらに良かったりするので、それと比べればサウンドの質はやや劣ります。
品質の良いヘッドフォンを使ったり、外部スピーカーに接続すればこの不満はかなり解消できます。
音が悪いということではないので、これから始める人にとっては気になるほどのデメリットではありません。
デメリット②:鍵盤はピアノタッチですが生ピアノほどではない
生ピアノさながらのタッチを再現しようとすると、構造が複雑になってパーツが増えるため本体が重くなります。
こちらも価格や重量とのトレードオフで、上級者がクラシック曲を本格的に弾こうとすると繊細なタッチに満足できないかもしれません。
前述の通りキーボードとは雲泥の差なので、趣味で弾きたい人、これから始める人には十分でしょう。
Pシリーズ最上位機種P-515は本格的なタッチを再現していますが、P-125(11kg)の倍の重さ22kgで、価格も2から3倍の約17万円もします。
予算があって、持ち運びの予定がないなら、据え置き型電子ピアノを検討しましょう。
デメリット③:スタンド別売りなので適切な高さでの演奏が難しい
理想的な姿勢での演奏は上達速度にも関わってきます。
上位機種の電子ピアノはスタンドと3本足のペダルが一体になっています。
そのため鍵盤の高さが生ピアノとほぼ同じ高さにあるので、ピアノ演奏用の椅子を使えば理想的な姿勢で演奏ができます。
Pシリーズはテーブルに置いて気軽に演奏できるというのはメーカー側も想定している使い方ではあります。スタンドが別売りのため安さを実現していることもポイントではあります。
別売りの専用スタンドを使えば理想的な高さにはセッティング可能ですが、最初からそれ前提で考えるならヤマハアリウスシリーズと価格差がなくなるのでそちらを検討する方が良いです。
しばらくテーブル置きで使っていたけど、本格的に練習したくなった、新しいピアノを買うほどでは無い、という状況で後からスタンドを買えば対応はできる。という考え方が良いでしょう。
デメリット④:Bluetooth非対応
最近のキーボードや電子ピアノではBluetooth対応機種も珍しくなくなってきました。
Bluetoothではスマホアプリとの接続に使用したり、YouTubeなどの曲を電子ピアノのスピーカーから流しながら一緒に演奏できるなど便利な機能です。
P-125aは2022年新発売の新しい機種ですが、残念ながらBluetooth機能は内蔵されていません。
旧機種P-125と新機種P-125aの違い
違い①:半導体変更による音質向上
違い②:USBがMIDI情報送受信のみになった
違い③:アプリ「MusicSoft Manager」非対応になった
P-125の後継機種として2022年にP-125aが発売されましたが、実はほとんど違いがありません。
P-125は2020年頃からコロナウィルスの拡大と共に隆起した、おうち需要で爆発的に売れました。ところが同じくコロナの影響で楽器内部で使用する半導体パーツの供給が滞り、作りたくても作れないという状況が続いていました。
そこでヤマハさんが手配できる半導体でP-125を再設計したのがP-125aです。なので新しい型番にしたのです。
P-125と新しいP-125aは鍵盤、音源、サイズなどほとんどの機能が同じですが、微妙に違うポイントがあります。
違い①:半導体変更による音質向上
ネット上でもあんまり指摘されていないので、眉唾と思ってもらっても良いのですが、実際に聴き比べた先輩鍵盤スタッフの方がおっしゃていました。
モデルチェンジに伴う半導体の変更で、半導体は新しいものが採用されている=性能が上がっているようです。処理能力が向上したことで同じ音源でも、再生の再現度が上がっていますとのことです。
違い②:USBがMIDI情報送受信のみになった
P-125ではUSBでパソコンと接続すると、MIDIに加えてオーディオ情報の送受信が可能です。P-125で演奏した音をそのままオーディオで録音できたということです。
P-125aではオーディオ情報の送受信はできず、MIDI情報のみの送受信です。
曲をしっかり作るDTMをする方ならMIDIの方が後から間違えたところを修正したり、音色を変更したり便利です。P-125aでオーディオをそのまま録音したいなら、別途USBオーディオインターフェイスが必要になります。
違い③:アプリ「MusicSoft Manager」非対応になった
P-125で対応していたアプリ「MusicSoft Manager」が、P-125aでは非対応になりました。しかしこのアプリのリリースは2012年で、いまだに使っている人いるんでしょうか?というレベルなのでほとんどの方は気にしなくて良いでしょう。
P-125aも最新アプリ「スマートピアニスト」に対応しています。
機種ごとの性能の違いと選び方
価格や専用スタンド・ペダルの有無、音や演奏性に関わる部分のカタログ仕様を一覧にしました。次に各機種ごとの特徴を解説します。
カタログが嫌いな人はこの表を見なくても良いです笑
P-45 | P-121 | P-125a | P-515 | |
---|---|---|---|---|
相場価格 | 46,200円 | 55,000円 | 65,890円 | 170,500円 |
カラー | ブラック | ブラック/ホワイト | ブラック/ホワイト | ブラック/ホワイト |
専用スタンド | L-85 | L-121 | L-125 | L-515 |
スタンド価格 | 13,200円 | 13,200円 | 13,200円 | 15,400円 |
専用ペダル | 3本ペダル不可 | LP-1 | LP-1 | LP-1 |
ペダル価格 | ー | 7,700円 | 7,700円 | 7,700円 |
サスティンペダル | 付属 | 付属 | 付属 | 付属 |
Bluetooth | 非対応 | 非対応 | 非対応 | オーディオ対応 |
スマートピアノアプリ | 非対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
鍵盤数 | 88 | 73 | 88 | 88 |
鍵盤種 | ・グレードハンマースタンダード(GHS) ・鍵盤黒鍵マット仕上げ | ・グレードハンマースタンダード(GHS)鍵盤 ・黒鍵マット仕上げ | ・グレードハンマースタンダード(GHS)鍵盤 ・黒鍵マット仕上げ | ・ナチュラルウッドエックス(NWX)鍵盤 ・象牙調・黒檀調仕上げ ・エスケープメント付 |
タッチ感度 | 4段階 | 4段階 | 4段階 | 6段階 |
音源 | AWMステレオサンプリング | RGE スタンダードⅢ音源 | RGE スタンダードⅢ音源 | ヤマハ CFXサンプリング、ベーゼンドルファー インペリアルサンプリング |
同時発音数 | 64 | 192 | 192 | 256 |
音色数 | 10 | 24 | 24 | 538 |
アンプ出力 | 6W | 7W x 2 | 7W x 2 | (15 W + 5 W) x 2 |
スピーカー | 12cm x 2 | 12 cm×2+4 cm×2 | 12 cm×2+4 cm×2 | (楕円(12cm×6cm)+2.5cm(ドーム式))×2 |
サイズ | 幅:1326mm 高さ:154mm 奥行き:295mm ▼スタンド装着時 高さ:744mm 奥行き:353mm | 幅:1114mm 高さ:166mm 奥行き:295mm ▼スタンド装着時 高さ:759mm 奥行き:353mm | 幅:1326mm 高さ:166mm 奥行き:295mm ▼スタンド装着時 高さ:759mm 奥行き:353mm | 幅:1336mm 高さ:145mm 奥行き:376mm ▼スタンド装着時 高さ:757mm 奥行き:402mm |
重量 | 11.5kg ▼スタンド装着時 重量19.6kg | 10.0kg ▼スタンド装着時 重量18.7kg | 11.8kg ▼スタンド装着時 重量20.8kg | 22.0kg ▼スタンド装着時 重量33.0kg |
P-45
キーボードじゃない生ピアノサイズの鍵盤とタッチで、ヤマハ製の最も安い88鍵盤の電子ピアノです。
スピーカーの数が少なく、アンプ出力も小さいので音はあまり良くありません。
グランドピアノから録音した音源ですが、他の機種より下位グレードの音源ですので、ヘッドフォンを使用した時も同様に聞き劣りします。
同時発音数も一番少なく性能は低めです。
サスティンペダル(ダンパー)のみ対応しています。付属品はFC5というフットスイッチで、ピアノのようなピアノペダルは別売りです。
もう約1.5万円でP-125にした方がおすすめです。音の満足度が飛躍的に向上するので、練習のモチベーションも上がります。
安心のヤマハブランドで、とにかく安い88鍵盤電子ピアノが欲しい
P-121
電子ピアノですが73鍵盤しかないモデルで、これからピアノを始めたいという人にはおすすめしません。
鍵盤数が少ないとやりたい曲で鍵盤が足りない、ストリートピアノを弾くときに混乱してしまう、といった恐れがあります。
コンパクトで持ち運びに便利、というのが一番のポイントなので、中〜上級者のセカンドピアノに最適な機種と言えます。
RGE スタンダードⅢ音源を採用しているので音はP-125と同様にP-45よりも良いです。
既にピアノは持っていて、持ち運んで演奏できる機種が欲しい
P-125a
P-シリーズで価格と機能のバランスに優れ、最もおすすめかつ人気の機種がこちらのP-125aです。
P-45との違いは価格が約1.5万円高いのですが、音が格段に良くなっています。
音源にはRGE スタンダードⅢ音源を採用。ヤマハのコンサートグランドピアノの中で最も優れた1台を最良の状態に調整したものを録音しています。
スピーカーの数と配置アップグレードしたことで、音の広がりや聞こえ方も生ピアノを弾いているかのような音場を目指しています。
同様にヘッドフォン装着時も「ステレオフォニックオプティマイザー」という技術で、ピアノを弾いているかのような立体感があります。
グレードハンマースタンダード(GHS)鍵盤により、優しい音色から力強い音色までの強弱、表情豊かな演奏タッチをしっかり表現してくれます。
同時発音数も192に増やしたことで、クラシック曲にも対応できます。
ただし専用のスタンドとペダルを揃えるとヤマハアリウスシリーズの方との価格差がほとんどなくなります。テーブルで使わず据え置きで使うことが前提ならアリウスが良いです。
・ピアノのことはよくわからないけど、安心のヤマハ品質でこれから始めたい
・据え置き型は置き場所が気になるので、テーブルに置いて演奏したい
・キーボードできないピアノ鍵盤のタッチを身につけたい
P-515
Pシリーズの最上位機種で、持ち運びできるサイズの電子ピアノとしては最高級の鍵盤を採用しています。
良い木製鍵盤と音源という点では据え置き型のアリウスシリーズより優れています。
ただし17万円と高額で「最高の鍵盤で、卓上で使う・持ち運びできる」という使用目的に限られている言えるでしょう。
音源はアリウスにも搭載されているヤマハ製グランドピアノCFXに加えて、ベーゼンドルファー社インペリアルの2種類のコンサートグランドピアノ音を搭載。その他数十種類以上の音色も搭載しており、あらゆるジャンルのバンド演奏にも使えます。
加えてピアノの音色はバーチャル・レゾナンス・モデリング(VRM)による、グランドピアノを弾いた際に生まれる「弦の振動が他の弦や響板にも伝わる複雑な共鳴」を再現。
ナチュラルウッドエックス(NWX)鍵盤は、生ピアノを熟知しているヤマハならではの木製鍵盤。生ピアノのように打鍵時にハンマーがから弦が離れる感覚の「エスケープメント機構」を搭載し、上質なタッチを実現しています。
家でしか弾かずスタンドに置きっぱなしということであれば、据え置き型のアリウスシリーズやクラビノーバシリーズの方が、スタンド・ペダル・椅子も付属して価格的にもおすすめです。
・テーブルの上で弾きたいけどタッチはできる限りリアルなものが良い
・外でも弾きたいけどタッチはできる限りリアルなものが良い
【まとめ】PシリーズはP-125がおすすめ
ヤマハのPシリーズは「ヤマハ品質のサウンドで卓上での演奏にピッタリ」な電子ピアノです。
大人の方がこれからピアノを趣味で始めるには、据え置きは置き場所も検討しなければいけませんので、テーブルの上で気軽に弾けるスタンド別売りの電子ピアノおすすめ。
88鍵盤卓上電子ピアノの中でも、P-125aは他社と比べてヤマハらしい音の良さと価格から最もバランスが良く一番人気です。
keigoさんのこちらの動画も参考になります。
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