●ローランドで一番人気の機種らしいけど、メーカーホームページを見てもよくわからない
●なるべく壊れない電子ピアノが欲しい
●趣味でピアノを弾きたいけど入門モデルでは音やタッチに不満がある
というアナタに楽器屋店員のyamaが、ローランドで一番人気の電子ピアノ「HP704」をメリット・デメリット、他機種と比較して徹底解説します!
指先の自然な感触を備え、歪みづらく故障率が少ないハイブリッド鍵盤を搭載した中では、安い機種。
ヤマハやカワイに比べて、音が明瞭な傾向があり、ポピュラー系、趣味で弾くプレイヤーに向いている。
鍵盤タッチは若干重めに感じるが、弾きづらいほどではなく、キータッチ設定で改善が可能。
Roland HP704の特徴
- 演奏感の良さと耐久性を備えたハイブリッド鍵盤PHA-50
- スーパーナチュラル・ピアノモデリング音源
- グランドピアノの響きを再現する4スピーカー・システム
- 練習にもBGMにも使えるBluetoothオーディオ
- 上達を記録する練習の記録Roland Piano App対応
- ヘッドフォンでも立体感がある音色
- 練習に使える2人同時に弾けるツインピアノ
- ハノン、バイエルなど定番の練習曲など400曲内蔵
- 全3色のインテリアにマッチするモダン・デザイン
演奏感の良さと耐久性を備えたハイブリッド鍵盤PHA-50
ローランド独自構造のハイブリッド鍵盤PHA-50は、木製と樹脂の素材を組み合わせた構造を採用しています。
樹脂製のフレームの側面に木材を貼り付けることで、音域の広い演奏時の手触りが自然です。
もちろん白鍵と黒鍵も見た目と触り心地もピアノを再現し、吸湿性のある素材でしっかり演奏できます。
センターフレームをあえて樹脂製にしたことで、木材のように反りや歪みが起こることなく、10年以上の使用にも耐えうる耐久性を備えます。
その優れた演奏感と耐久性を備えたハイブリッド鍵盤を採用した、比較的安価な電子ピアノがHP704です。
スーパーナチュラル・ピアノモデリング音源
ローランドのHP704では、スーパーナチュラル・ピアノモデリング音源を採用しています。これはヤマハやカワイで採用されるサンプリング技術とは異なる、アコースティックピアノの豊かな音色と表現力を実現するための独自の技術です。
ピアノの音を一音一音サンプリングするのではなく、音を生み出すピアノの全体的な構造とメカニズムをモデリング(再現)します。これにより、弾き方や鍵盤のタッチによる微妙な音色の変化、弾き始めから消音までの自然な音の流れ、さらには複数の音が重なった時の複雑な響きまで、リアルに再現することが可能になります。
サンプリング音源では上限がある同時発音数も、スーパーナチュラル・ピアノモデリング音源ならアコースティック・ピアノ同様に無限です。
これらの特性により、ローランドのHP704は、初心者からプロの演奏者まで、幅広いユーザーにとって魅力的な電子ピアノとなっています。
グランドピアノの響きを再現する4スピーカー・システム
グランドピアノの響きを再現するための4スピーカー・システムを搭載しています。このシステムは、ピアノの音を全方向に広がらせることで、リアルな音響効果を生み出します。
4つのスピーカーは、それぞれ異なる音域を担当し、一緒になって豊かでバランスの良い音を出力します。低音域を担当するスピーカーは、深みのある低音を再現し、高音域を担当するスピーカーは、明瞭で鮮やかな高音を出力します。
それらが組み合わさって、ピアノの音が部屋全体に広がるグランドピアノの響きを再現します。
練習にもBGMにも使えるBluetoothオーディオ
ローランドのHP704は、Bluetoothオーディオ機能を備えています。これにより、スマートフォンやタブレットなどのBluetooth対応デバイスから音楽をワイヤレスでストリーミングし、HP704の高品質なスピーカーシステムを通じて再生することができます。
この機能は、練習の際にも非常に便利です。例えば、演奏したい曲をBluetoothデバイスからHP704にストリーミングし、その音楽に合わせて演奏を練習することができます。
また、Bluetoothオーディオ機能は、HP704を高品質なワイヤレススピーカーとして使用することも可能にします。
スマホのスピーカーやイヤフォンでは聞こえなかった、細部の音色やフレーズ、全体のバランスに、聞き慣れた曲でも感動するかもしれません。
お気に入りの音楽を再生しながらリラックスしたり、パーティーや集まりのBGMとして使用したりすることができます。
Bluetoothオーディオ機能は、練習だけでなく音楽鑑賞の楽しみも広げてくれます。
上達を記録する練習の記録Roland Piano App対応
無料アプリRoland Piano Appと連携することができます。このアプリでは、練習の進行を記録し、上達を視覚的に確認することができるツールです。
Roland Piano Appは、演奏した曲のリストや練習時間など様々なデータを記録します。録音も可能なので、自分の演奏を録音して聞き直すと、演奏中は聞き逃していたミスに気がつき上達につながります。
ピアノに内蔵された曲の譜面を表示したり、メトロノーム機能やゲーム感覚で耳のトレーニグができるフラッシュカードなど、上達のための機能も搭載。
アプリを使えば自分の成長が実感でき、練習のモチベーションを維持に繋がります。
ヘッドフォンでも立体感がある音色
ヘッドフォンを使用しても立体感のある音色を楽しむことができます。これは、ローランドの独自技術である「ヘッドフォン3Dアンビエンス」によるものです。
ヘッドフォン3Dアンビエンスは、ヘッドフォンを通しても、まるでピアノの前で直接演奏しているかのような音響体験を提供します。これは、音の方向性や距離感を再現することで、ヘッドフォンを通じてもリアルな音響空間を再現します。
この機能は、深夜や集中して練習したい時など、ヘッドフォンを使用する場面でもストレスなく演奏が楽しめます。
練習に使える2人同時に弾けるツインピアノ
ツインピアノ機能は、ピアノを二つの独立したピアノに分割し、二人が同時に演奏できるようにする機能です。
ツインピアノ機能は、講師と生徒、親子で同時に同じ音域で演奏できるので便利です。
例えば、講師は一方のピアノでお手本を演奏し、生徒はもう一方のピアノでそれを模倣することができます。
ハノン、バイエルなど定番の練習曲など400曲内蔵
ハノンやバイエルなどの定番の練習曲を含む400曲以上の内蔵曲を備えています。これらの曲は、初心者から上級者まで幅広いレベルのユーザーが練習に利用できます。
ハノンやバイエルの練習曲は、ピアノの基本的な技術を磨くのに非常に有効です。これらの曲を使って、指の独立性、速度、正確さなどを訓練することができます。
内蔵曲は、演奏の練習だけでなく、リスニングの練習にも利用できます。曲を聴きながら、メロディやリズム、和音などの音楽的要素を理解することができます。
ローランドのHP704の内蔵曲は、練習の幅を広げ、音楽の楽しみを増やします。
全4色のインテリアにマッチするモダン・デザイン
全4色のモダンなデザインのHP704は、どんなインテリアにもマッチします。
選べるカラーは、温かみのあるダークローズウッド、ピアノのような鏡面仕上げのポリッシュドエボニー、明るい杢目のライトオーク、そして明るく清潔感のあるホワイトです。
HP704のデザインは、シンプルでありながらもエレガント。スリムで洗練されたキャビネットは、どんな部屋にも自然に溶け込みます。
ブラック以外は木目調であることもポイントです。
お部屋の家具や、壁紙の色に合わせて、ご自宅に最適な1台が選べます。
Roland HP704のメリット
①:故障率が低く安心して使える
これはここだけの話ですが、楽器屋店員の経験的に販売後の修理依頼はローランドが圧倒的に少ないです。
特に、HP704の鍵盤は、木製と樹脂のハイブリッド構造を採用しており、耐久性が非常に高いです。
20万円を超える電子ピアノは、本物のピアノに習って木製鍵盤を採用したものがほとんどですが、木材は天然のものなので、どうしても使用環境によって反ったり歪んだりしてしまいます。
鍵盤が歪むと、押し込む際に違和感があったり、鍵盤の戻りが悪くなるなど、演奏に致命的な欠陥が発生します。
ローランドのハイブリッド鍵盤はこの故障がほぼ出ないことが、故障率の低さを実現している要因です。
電子ピアノの故障は購入店へ修理依頼をしてスタッフを家に呼ぶ必要があり、手間と時間がかかるので、壊れづらいのはローランドの電子ピアノの大きなメリットです。
②:他社に比べてきらびやかな音色でポピュラーにも最適
スーパーナチュラル・ピアノモデリング音源では、ヨーロピアンピアノとアメリカンピアノをモデリングしており、豊かで明瞭な音を出力します。
ヤマハやカワイはそれぞれ自社のピアノの音をサンプリングしており、クラシック寄りな音色が特徴です。
対してローランドはピアノ以外にも、シンセサイザーや電子ドラム、エレキギター周辺機器で音色の生成技術を培っており、プロのCDでも聞けるような、整った派手な音色が得意です。
この音色は、クラシック音楽だけでなく、ポピュラー音楽の演奏にも非常に適しています。明るく鮮やかな音色は、ジャズやポップス、ロックなどのジャンルでよく使われるコードやリズムを際立たせてくれます。
特に趣味でピアノを弾いている人には、気持ち良い音色と感じる人が多いです。
③:蓋の開閉で電源がON/OFFするので、練習に取り掛かりやすい
蓋を開けると電源が自動的にオンになり、閉じるとオフになるという便利な機能があります。
これは、練習に取り掛かる際の手間を省き、よりスムーズに演奏を始めることができる大きなメリットです。
また、蓋を閉じると電源がオフになるため、演奏後に電源を切り忘れる心配もありません。
これは、忙しい日々を送るユーザーや、練習を効率的に行いたいユーザー、わたしのような面倒くさがり屋にとって大きなメリットです。
④:演奏に集中できるアコースティック・ポジション
演奏に集中できるようにする「アコースティック・ポジション」という特徴があります。
これは、蓋で操作ボタンを隠すことができるため、演奏中誤操作や、子どもが気が散ってしまうといったことを防いでくれます。
他社の電子ピアノには見られないメリットです。
Roland HP704のデメリット
①:鍵盤の重さは好みがわかれる
ローランドのHP704の鍵盤は、少し重く感じます。
これはアコースティックピアノに近いピアノタッチであることはもちろん、個人的にはヤマハやカワイよりも、少し重厚に感じます。
これは、一部のユーザーにとってはデメリットと感じられるかもしれません。
弾きづらいほどではなく、私はむしろ好みだったりするのですが、初心者や子どもなど、手の力が弱い人にとっては、この重さが演奏を難しく感じさせることがあります。
設定でキータッチを軽くすることで、この重さは軽減できます。
実際に軽くなるわけではありませんが、同じ強さで弾いてもしっかり音が出るようになります。
②:レッスンのピアノと音に違いを感じるかもしれない
メリットにも挙げた通り、ローランドのピアノの音色は明瞭できらびやかです。
ピアノレッスンで使用するアコースティックピアノは、ヤマハやカワイのピアノがほとんどです。
現在レッスンに通っている方や、昔レッスンに通っていてその音色に親しみがある方には、ローランドの音色は派手に感じてしまうかもしれません。
家でも同じような音色で演奏したい方や、主にクラシックを演奏される方は、よく演奏するアコースティックピアノのブランドで揃えたほうが良いでしょう。
HP702, HP704, DP603違い比較
ローランドHome Pianoシリーズ上位3機種を一覧表で比較し、それぞれの違いを解説します。
HP702 | HP704 | DP603 | |
---|---|---|---|
市場相場価格 | 165,000円 | 203,500円 | 187,000円 |
音源 | スーパーナチュラル・ピアノモデリング音源 | スーパーナチュラル・ピアノモデリング音源 | スーパーナチュラル・ピアノ・モデリング音源 |
鍵盤 | PHA-4 スタンダード 鍵盤、エスケープメント付、象牙調/黒檀調鍵盤 | PHA-50 鍵盤:ハイブリッド構造、エスケープメント付、象牙調/黒檀調鍵盤 | PHA-50鍵盤:ハイブリッド構造、エスケープメント付、象牙調・黒檀調(88鍵) |
スピーカーシステム | 12 cm x 2 | 12 cm x 2 + 5 cm x 2 | 12 cm x 2 |
定格出力 | 14 W x 2 | 25 W x 2 + 5W x 2 | 30 W x 2 |
ヘッドフォン3Dアンビエンス | 有り | 有り | 有り |
内蔵曲 | 402 曲 | 402 曲 | 375 曲 |
音色数 | 324音色 | 324音色 | 319音色 |
最大同時使用数 | ピアノ:無制限その他音色:384 | ピアノ:無制限その他音色:384 | ピアノ:無制限その他音色:384 |
Roland Piano App | 対応 | 対応 | 非対応 |
カラー | 全3色 ・ダークローズウッド(HP702-DR) ・ライトオーク(HP702-LA) ・ホワイト(HP702-WH) | 全4色 ・黒塗鏡面艶出し塗装仕上げ(HP704-PE) ・ダークローズウッド(HP704-DR) ・ライトオーク(HP704-LA) ・ホワイト(HP704-WH) | 全4色 ・黒塗鏡面艶出し塗装仕上げ (DP603-PES) ・白塗鏡面艶出し塗装仕上げ (DP603-PWS) ・黒木目調仕上げ (DP603-CBS) ・ナチュラルビーチ調 (DP603-NBS) |
サイズ (幅 x 奥行 x 高さ) | 1,377 mm x 468 mm x 1,067 mm | 1,377 mm x 468 mm x 1,113 mm | 蓋を閉めた状態:1,398 mm x 311 mm x 783 mm 蓋を開けた状態:1,398 mm x 339 mm x 975 mm |
重量 | 54.4 kg | 59.5 kg HP704-PE:61.0kg | DP603-CBS/NBS: 45.9 kg DP603-PES/PWS: 47.4 kg |
音の違い(スピーカーの違い)
HP702、HP704、DP603の3つのモデルは、音源は全て同じですが、それぞれ異なるスピーカーシステムを採用しています。これにより、音の聞こえ方が若干異なります。
HP702は12 cm x 2のスピーカーシステムを採用しており、クリアでバランスの良い音を提供します。
HP704は12 cm x 2 + 5 cm x 2の4スピーカーシステムを採用しており、HP702よりも豊かで立体的な音を再現します。なので、音は3機種の中で一番良いです。
DP603も12 cm x 2のスピーカーシステムを採用していますが、定格出力が30 W x 2と最も高いため、HP702よりも大きな音で鳴らせます。
ただし、全ての機種で「ヘッドフォン3Dアンビエンス」機能を搭載しているため、ヘッドフォンでの聞こえ方は同じです。
演奏性の違い(鍵盤の違い)
HP702はPHA-4スタンダード鍵盤を採用しています。
表面は象牙調/黒檀調の鍵盤で、アコースティックピアノに近いタッチ感を提供しますが、全て樹脂製です。
HP704とDP603はPHA-50鍵盤を採用しています。これは、木材と樹脂のハイブリッド構造を持ち、より本格的なピアノのタッチ感を再現します。
どちらの鍵盤も樹脂ならではの安定性があり、鍵盤の不具合は出づらいですが、PHA-50鍵盤の方が、よりピアノに近い自然な感触で演奏できます。
サイズ・デザインの違い
HP702とHP704は、サイズとデザインにおいて非常に似ています。両モデルともに幅1377 mm、奥行468 mm、高さ1067 mmのサイズです。
木目調のダークローズウッド、ライトオーク、ホワイトの3色に加え、HP704のみ黒鏡面仕上げポリッシュドブラックが選べます。
DP603は蓋を閉じた状態で幅1398 mm、奥行311 mm、高さ783 mm。
据え置き型電子ピアノでありながら、奥行きと高さがスリムでコンパクトなデザインです。
部屋に設置しやすいスリムデザインは以下のデメリットもあります。
- 安定性に欠ける:地震やぶつかった衝撃で倒れやすい。
- 壁にベタ付けできない:蓋を開けるスペースが必要。
- 譜面台が低い:アコースティックピアノよりも譜面台の位置が低い
黒塗鏡面艶出し塗装仕上げ、白塗鏡面艶出し塗装仕上げ、黒木目調仕上げ、ナチュラルビーチ調の4色から選べます。
HP704は価格と性能のバランスが良くおすすめ
HP704は、しっかり弾けるようになってからも、ストレスには感じないほどの鍵盤の感触と音色を持っています。
鍵盤も含めて耐久性が高く長く使えるため、はじめての電子ピアノでもずっと使える安心感があります。
価格と性能のバランスが良く、3機種でもっともおすすめですが、それぞれの機種はこんな人におすすめです。
●ヘッドフォンでの演奏が多い:音源が上位機種と同じなので、ヘッドフォンだと差が無い
●ピアノに近い演奏感と安定性:譜面の目線や倒れづらい安定性を重視したい
●スピーカーを鳴らして演奏する:4つのスピーカーを鳴らして、リアルな音を楽しみたい
●自然な感触でありながら、故障が少ない方が良い:ハイブリッド鍵盤によるメリット
●ピアノに近い演奏感と安定性:譜面の目線や倒れづらい安定性を重視したい
●できる限り省スペースに抑えたい:部屋に置いたときの圧迫感が無いピアノが良い
●自然な感触でありながら、故障が少ない方が良い:ハイブリッド鍵盤によるメリット
もっと安い10万円台のローランドHome Pianoシリーズの比較はこちらの記事をご覧ください。
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